相続を放っておくと大変なことに… 90代女性のケースから

相続

「伯母が亡くなったのですが、どう進めたらいいかわからなくて…」
そんなご相談を、被相続人の妹の息子さんからいただきました。亡くなったのは90代の女性で、未婚・子どももいない方。ご両親もすでに亡くなっており、兄弟7人もすべて他界していました。

戸籍を集めて調べていくと、兄弟のうち一人だけが結婚し子どもがいたため、甥や姪が「代襲相続人(だいしゅうそうぞくにん)」として相続人になることがわかりました。つまり、相続人は妹(依頼者の母)と、その甥・姪たちということになります。

その後、自宅から自筆証書の遺言書が見つかり、「妹にすべて譲る」と書かれていました。公証役場の検索システムでも他の遺言書がないことを確認し、家庭裁判所で検認を受ける手続きを進めました。

遺言により妹が遺言執行者に選任されましたが、ご本人は90代と高齢で、細かな手続きや金融機関とのやり取りを自分で行うのは大変です。そこで当事務所が「遺言執行補助者」としてサポートし、相続の手続きを代わりに進めることになりました。

まず、被相続人の預貯金や不動産を調査し、遠方に住む甥・姪にも財産の内容をお知らせしました。ところが調査を進める中で、亡くなってから8か月が経過しているにもかかわらず、相続税が発生することが判明。相続税の申告・納付期限は「亡くなってから10か月以内」と決められています。そのため税理士の先生にも協力いただき、期限内に納付を完了しました。

遺言書があっても、実際に手続きを進めるのは簡単ではありません。戸籍を集めて相続人を確定させたり、金融機関や役所への届け出を行ったり、関係者への連絡や説明も欠かせません。手続きを放っておくと、思わぬトラブルや期限切れによる不利益が生じてしまうこともあります。

今回のケースでは、依頼からおよそ10か月で無事にすべての手続きを完了することができました。
相続は時間との勝負でもあります。「まだ早いかな」と思っていても、戸籍収集や遺産の調査には思った以上に時間がかかります。少しでも不安があるときは、早めに専門家に相談してみてください。

当事務所では、相続手続きや遺言書の検認、遺言執行のサポートまで一貫してお手伝いしております。
「何から始めればいいかわからない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。